SNS時代の家具選び──“いいね”より“これが好き”を大切に | albo(アルボ)

albo Library

家具と暮らしの物語がそっと並ぶ場所

Column / コラム

SNS時代の家具選び──“いいね”より“これが好き”を大切に

SNSを開けば、きれいな部屋やおしゃれな家具が次々と目に飛び込んでくる。
スクロールする指が止まらなくて、保存フォルダには憧れの空間がどんどん溜まっていく。
まるで世界中の素敵な暮らしが並んでいて、自分の部屋もこんなふうにできたらと夢を重ねてしまう。

けれど、その「いいね」の数や保存の多さが、そのまま自分の暮らしに合う家具を選ぶ基準になるかというと、そうではない気がする。
写真に映った家具は美しく、雑誌の1ページのように整えられているけれど、そこに生活の音や気配は写り込んでいない。
人気のあるものは確かに魅力的だけれど、それがそのまま、自分や家族にとって心地いいかどうかはまた別のこと。

例えば、大理石のテーブル。ひんやりとした質感や重厚感は写真で見ると本当に絵になる。
けれど、小さな子どもがいる家庭では、角の硬さや冷たさが気になってしまうかもしれない。
大切なのは「誰かが選んだ正解」ではなく、「自分たちの暮らしに寄り添うかどうか」。

家具はただ置かれているものではなく、日常の時間を支える存在だと思う。
食卓に集まって話す声や、机に広がる子どものノート、ソファで本を読む静かな夜。
そうした小さな出来事のひとつひとつが、家具の上で積み重なっていく。
誰かの理想像をなぞるより、自分の記憶や未来に残したい場面に合う家具を選びたい。

天然木や革のような素材は、時間とともに表情を変える。
最初にSNSで見た新品の姿と違っても、使い込むうちに色が深まり、手触りに馴染んでいく。
それは写真では伝わらない変化であり、暮らしと共に歩む実感でもある。
「いいね」を集めるための一瞬のきらめきより、日常の中でふと触れたときに「やっぱり好きだ」と思える、その積み重ねの方がずっと価値がある。

未来の自分が部屋の写真を見返したとき、その家具を通して当時の時間や空気まで思い出せるように。
流行ではなく、自分にとっての「これが好き」を大切にして選んでいきたい。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2025 albo inc. All Rights Reserved.

CLOSE