Drama/ドラマ[TV Board]

「ママ、こっち向いて！」

ピンクのパジャマを着た小さな娘が、お絵かきした紙を高く掲げてソファの前を飛び跳ねる。

テレビの前には最近迎えたばかりのテレビボード。

丸みのあるオーク材が部屋の空気をふんわりとやわらかく包んでいる。

箱から出したとき、娘がすぐに引き出しを開けて

「ここに絵を入れてもいい？」と聞いてきた。

もちろんダメなわけがない。

むしろ、そうやって好きなものを詰めてくれることがうれしかった。

石目調の脚は、まるで小さな舞台のように家具全体をすっと浮かせていて、

娘が描いたクレヨンの色が、木目の影にちらちらと反射していた。

その夜はふたりでディズニーの映画を観た。

大笑いして途中で娘は眠ってしまったけれど

その顔を見ながらふと思った。

この子が大きくなっても、一緒にこんなふうに映画を観ていられるだろうか。

隣に座ってくれる日が、ずっと続くだろうか。

そんなことを願いながら娘を毛布でくるみ

ココアの入ったカップをそっとテーブルに置いた。

静かなリビングに、まだ新しいテレビボードが静かに佇んでいる。

この場所にたくさんの時間が積もっていくのだと思うと

まだ何も知らないその木の表情さえ、どこか愛おしく感じられた。

そして10年後。

ふたりはまた、隣に座っていた。

何も変わっていないようで、すべてが変わっていて

でも、この家具の前だけは時間がちゃんと続いていた。