らしさを積み重ねたアパート | albo(アルボ)

らしさを積み重ねたアパート

引っ越しが決まった日の夜。
床に座って、ダンボールに詰めた荷物をひとつひとつ見つめながら、彼女は静かにリビングを見渡していた。

ここに越してきて6年。最初は段ボールに囲まれていたけど、少しずつ、少しずつ自分たちらしさが積み重なっていった。

ベージュのレザーソファ。
あの日、出産前にふたりで何度も座り心地を確かめて「これなら10年後も一緒に過ごせそうだね」と選んだもの。
初めて赤ちゃんを抱いて座ったのも、夜泣きに付き合ってうとうとしたのもこの場所だった。

丸いテーブルの脚には、小さな擦り傷がひとつ。
子どもがスプーンでトントン叩いてできた傷だけど、不思議と愛おしい。
その下のウールのラグには、毎日おもちゃが散乱していた。

何度も洗って何度も乾かして、家族の成長の上にいつも敷かれていた。

「このアパート、好きだったなあ…」と、彼女はぽつりとつぶやいた。
急に決まった転勤。広くて便利な家に住めるのはうれしいはずなのに、この部屋を離れることがこんなに寂しいとは思っていなかった。

でも、alboで選んだ家具たちは、まだある。
ここでの暮らしを、ずっとそばで見てきた証人のように。

このソファに座れば、たぶん新しい家でもこの部屋の光や笑い声を思い出す。
このテーブルにカップを置けば、何気ない朝の会話が心に浮かぶ。
家具と一緒に、思い出も連れていける。
だからalboで選んだ。──今、ようやくその意味がわかった気がした。

引っ越しの朝はすぐそこ。
でも今は、もう少しだけここにいよう。

この部屋に、ありがとうを言うために。

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