家具屋が思う、Yチェアを買う前に知っておきたい3つのこと

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家具屋が思う、買う前に知っておきたい3つのこと【Yチェア】

#Yチェア#カール・ハンセン&サン#ダイニングチェア#北欧

北欧チェアであり、デザイナーズチェアの代表格と言っても過言ではない、「Yチェア」として広く世に知られている「CH24 Wishbone chair (ウィッシュボーンチェア)」。

デンマーク家具デザイナーの ハンス J. ウェグナーによってデザインされ、1949年から今もなお世界中に愛されている名作です。
ちなみに筆者の私もYチェアに魅了された1人であり、Yチェア ユーザーです。

そんな家具屋の私が実際に家で10年使っていて思うことや、お客様からよく質問があることなどを3つにまとめてみました。


1 メンテナンス方法について

結論から申し上げると、Yチェアはメーカーのアフターサービスやメンテナンスも充実しているので、飽きたから違うチェアに買い替えたいと思わない限り、長く愛用できます。

Yチェアは 計14のパーツで構成されており、万が一なにか不具合が生じても各パーツの交換が可能です。
ただ、私がインテリアの業界に入り十数年、Yチェアに関しての修理などといったお問い合わせは受けたことがありません。
熟練した職人がほぼ手作業で組み上げて制作されているYチェアのクオリティに脱帽です。

あと、これは二人に一人ぐらいの確率で知らない方がおおいのですが、座面のペーパーコード部分には樹脂加工が施されておりますので、お食事の食べこぼしなどが生じてしまった場合は、お風呂場でシャワーをかけてもらえればOKです!・・・と言いながら私も初めは恐る恐るでした。

ただ、この樹脂加工というのは永久的にというわけではありませんし、ものによって状態は違いますのでよくよく注視しながらやってみてください。

洗っても汚れやシミが落ちないといった場合は、ペーパーコードの張り替えを検討してください。

Yチェアを取り扱っている国内正規代理店であるカール・ハンセン&サンジャパンの方に以前お伺いしたところ、だいたい10~15年前後でペーパーコードを張り替える方が多いとのことでした。

2 シートハイ、アームハイが高い


Yチェアの特徴的な美しいライン。
弧を描いたような背と肘一体のシャープな部材。
そこに角はなく、いつまでも触っていたくなります。

アームハイは約72cm。
日本規格のダイニングテーブルの天板の下には、大体収まらないでしょう。

ご自宅のダイニングシーンにスペースを確保できない方は注意が必要ですが、逆に余白があるよってご自宅では、もうせっかくの名作なのでしっかり存在感を出していきましょ!


ただ、一部の方には朗報だと思うのですが、Yチェアには日本人の体形にもより合いやすい
「通称:日本サイズ」となるものがあり、そちらはシートハイが43cmでデザインされております。
※メーカーオプションとなり納期と費用がかかります。(約¥11,000 プラス)
          ↓
Hans J. Wegner デザインの CH24 Low | Wishbone chair | SH43 cm を購入する| Carl Hansen & Søn

3 ペーパーコードの座り心地

座り心地の良し悪しは、その人によって感じ方が違います。
それは体形や骨格により大きく異なり、一概にまとめることはできません。

ペーパーコードは3本の紙ひもを縒って作られています。

独特なしなるような柔らかさがあり、月日が経つごとに座り手に馴染んできます。

ぎしっ、ぎしっと音鳴りがするようにもなりますが、これもまたYチェアらしさで、私はこのきしみ音にさえ心が豊かになる感情が芽生えます。

いま思い返せば、我が家のYチェアも初めは結構硬かったな、と思います。
職人さんの縛りたてほやほやですからね。

そんな中、ごく稀に耳にするお悩みで「座っているとお尻が痛い」と言われる方がいらっしゃいます。
この原因は先に述べた「骨格」すなわち尾てい骨の問題ではないかと思います。

ウレタンが混入された布張りのチェアよりはもちろん硬いと思いますが、木製チェアで板座の座面のものよりは柔らかいです。
どうしても気になってしまう方は、専用のレザークッションがございますので、チェックしてみてはいかがでしょう。
          ↓
CH24 クッション | カール・ハンセン&サン

Yチェアを10年使ってみて思うこと


まず10年使用してみて思うことは、先述しましたが、ペーパーコードのきしみ音が購入当初よりも大きい音になったかな?というぐらいです。
張替えはまだ大丈夫そうですし、本当に丈夫だなとつくづく感心します。

我が家のYチェアは、定番の 【ビーチ材・ソープ仕上げ】のもを使用しています。

【ビーチ材・ソープ仕上げ】 は初めはかなり白っぽく、当時に合わせていた【ビーチ材・オイル仕上げ】のダイニングテーブルとの色の差がありすぎて、Yチェアが部屋の中で浮いた印象でした。

それが10年の間に風合いが増し、今では何とも言えない艶を帯び、ダイニングテーブルやインテリアと馴染んでいます。

これから先も我が家で共に時間を過ごし、ヴィンテージのYチェアに育てあげたいと考えてます!

そしていつか子供が受け継いでくれたらな・・・というのが私の理想です。

デザイナーズ商品は決して安くはありませんが、いい物にはユーザーの心を豊かにする力があると、私は思います。

あの時、少し背伸びをして購入に至ったこと、いまでは良かったと思っています。

この記事の著者

宮本 翔伍

1991年1月生まれ。株式会社albo代表。
家具を売るだけでなく、その向こうの時間に寄り添いたくて、2025年春に独立しました。約11年間、販売の現場で見てきたたくさんの暮らしが、今の自分の土台です。
同じ想いを持つ仲間と始めたばかりの小さなブランド”albo”。
まだ店舗はありませんが、いつか誰かの「はじまりの場所」のそばにいられる家具を販売していきたいと思っています。

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