天然木とのつきあい方-経年変化は欠点じゃない-
天然木は「時間で完成する素材」です。色が深まり、触れたところだけ艶が出る。
小傷は光の角度で消えたり現れたりしながら、暮らしのリズムを刻む。新品の均一さは気持ち良いものですが、木は人と同じく、均一ではいられません。
alboはその不均一さを“欠点”ではなく“景色”として扱います。
だからこそ、最初に“変わる”ことを約束し、天然木を楽しむために特徴をまとめました。

天然木の家具のメリット・デメリット
メリット
- 唯一無二の美しさ: 自然が作り出した木目や色合いは、同じものが一つとしてなく、世界に一つだけの家具となります。
- 経年変化を楽しめる: 時間が経つにつれて色が深まったり、艶が増したりと、木材が持つ独特の風合いを楽しむことができます。
- 高い耐久性: 適切に手入れすれば非常に長く使用でき、一生ものとして次の世代に引き継ぐことも可能です。
- 調湿作用: 天然木は周囲の湿度を吸ったり吐いたりする性質があり、室内環境を快適に保つ効果が期待できます。
- 温もりと安らぎ: 自然素材ならではの温かみがあり、生活空間に安らぎを与えてくれます。

デメリット
- 価格が高い: 成長に時間がかかる希少な木材を使用する場合が多く、一般的な家具に比べて高価になりがちです。
- メンテナンスが必要: 傷や汚れがついた場合、種類によっては定期的なオイル塗装などのメンテナンスが必要です。
- 反りや割れのリスク: 湿度の変化によって、木材が収縮したり反ったり、ひび割れを起こすことがあります。
- 重い: 重厚感がある反面、重くて移動が大変な場合があります。

主な木材の種類と特徴
天然木の家具に使われる木材には、それぞれ異なる特徴があります。
- ウォールナット:
- 特徴: 世界三大銘木の一つ。落ち着いた濃い色合いと滑らかな質感が特徴。
- メリット: 硬くて耐久性が高い。使い込むほどに色が明るくなり、風合いが増す。
- チーク:
- 特徴: 世界三大銘木の一つ。自然由来の油分を多く含み、水に強い。
- メリット: 経年変化で美しい飴色に変化する。
- マホガニー:
- 特徴: 世界三大銘木の一つ。赤みがかった色合いと美しい光沢が特徴。
- メリット: 加工しやすく、しっとりした滑らかな手触り。
- オーク(ナラ):
- 特徴: 堅くて傷がつきにくい。はっきりとした木目が特徴で、「虎斑(とらふ)」と呼ばれる模様が現れることもあります。
- メリット: 丈夫で長持ちする。
- パイン:
- 特徴: 柔らかく、温かみのある色合い。
- メリット: 軽くて加工しやすい。比較的安価。
- デメリット: 傷がつきやすい。
- メープル:
- 特徴: 明るい乳白色の清潔感のある木肌と絹のような光沢が魅力。
- メリット: 衝撃に強く、硬い。
- ヒノキ:
- 特徴: 軽量で丈夫な国産材。独特の香りがリラックス効果をもたらします。
- メリット: 絹のような滑らかな手触り。

天然木の家具のメンテナンス方法
天然木の家具は、仕上げ方法によってメンテナンス方法が異なります。
- オイル仕上げ:
- 特徴: 木材本来の質感や手触りを活かした仕上げ。
- メンテナンス: 年に数回、専用のオイルやワックスを布に付けて塗り込み、乾燥させます。これにより、乾燥によるひび割れを防ぎ、艶を保ちます。
- 注意点: 水や熱に弱く、シミや輪染みができやすいので、コースターやマットの使用が推奨されます。
- ウレタン塗装:
- 特徴: 木材の表面に塗膜を作る仕上げ。水や汚れに強い。
- メンテナンス: 普段は乾拭きで十分です。ひどい汚れは、中性洗剤を薄めたぬるま湯で固く絞った布で拭き、その後乾拭きをします。
- 注意点: 一度傷がつくと補修が難しい場合があります。

寿命について
一般的な家具の寿命が5〜10年と言われる中、天然木の家具は適切なメンテナンスを行えば、何十年、あるいは100年以上も使用できると言われています。木材そのものが持つ耐久性と、傷やへこみを削って直すことができるメンテナンス性により、長く使い続けることができます。
家具の選び方
天然木の家具を選ぶ際は、以下のポイントを参考にすると良いでしょう。
樹種:自分の好みや使用目的に合わせて、木材の種類を選びましょう。
仕上げ:メンテナンスの手間を考慮して、オイル仕上げかウレタン塗装かを選びます。
家具の品質:接着部分がしっかりしているか、木目の美しさなど、細部まで確認することが大切です。
天然木家具との付き合い方
直射日光は木の天敵ではありませんが、急激な変化は避けたい。レースカーテンやブラインドやプリーツスクリーンで拡散し、テーブルは使わない時間にランナーを置くなど「影をデザイン」します。

輪染みは慌てず、まず乾拭き→軽い湿拭き→乾拭きで水分を残さない。
残った“影”は#400のペーパーで木目に沿って軽く均し、#800で整えてから、ごく薄くオイル。
塗りすぎはベタつきの原因になります。
月一回のリセットより、季節の変わり目に向き合うのがおすすめ。
梅雨前は湿気対策として換気の習慣を、冬前は加湿の準備を。

オイル仕上げは“呼吸する肌”。小傷のリカバリー性が高く、触れるほど表情が出ます。
ウレタンなど膜厚仕上げは汚れに強い反面、深い傷が入ると補修にコツが要る。
どちらが“正解”ではなく、暮らしに合う選択が肝心。
子育て期のダイニングは膜厚仕上げ+局所オイルで使い勝手を、来客中心のリビングテーブルはオイルで“育てる喜び”を、など。

家具は“無傷”を保つためにあるのではありません。
記憶を受け止めるために、適度に強く、適度に柔らかくあるべきだと思います。

